東京電力福島第一原子力発電所の汚染水の新たな処理設備のうち、ことし6月に処理前の汚染水が漏れるトラブルで停止していた系統が28日から試運転を再開しました。
試運転は、今ある3系統のうち2系統で始まったことになりますが、本格運転の開始は遅れていて、今後、順調に運転できるのか注目されます。
汚染水の新たな処理設備「ALPS」は、トリチウム以外の62種類の放射性物質を取り除くことができるとされる汚染水対策の要で、福島第一原発では3系統が完成しています。
このうち、試運転中のことし6月、処理前の汚染水をためるタンクに腐食による穴が開き水漏れが起きて停止していた系統が、28日午前、およそ4か月ぶりに試運転を再開しました。
ALPSでは、今ある3系統すべてで腐食を防ぐ対策を行っていて、別の1系統が先月末から試運転を始め、残る1系統も来月中旬には試運転に入る計画です。
本格運転の開始時期は、当初の予定のことしの秋が遅れて、来年からになる見通しです。
福島第一原発で、東京電力は来年からALPSをさらに3系統増設するほか、より処理能力が高い設備を政府の支援で整備し、来年度末、平成27年3月までに敷地内のタンクの汚染水をすべて処理することを目指しています。
しかし、これまでの試運転中に設備の不具合やミスによるトラブルが相次いでいて、汚染水処理の要となる設備を長期間にわたって順調に運転できるのか注目されます。